ゼルダの伝説 窃盗のオカリナ

勇者とは窃盗犯として有名な職業である。

 

古来よりRPG等のゲームに存在する職業である、その業務内容は無断で民家に押し入り、家財道具を漁り、壺や樽などをあらかた破壊した後、小さなメダルや金品、薬草等を奪い去っていく強盗行為と、

野に住うモンスターを剣と魔法でめっためたにしばき上げる弱い者いじめが主な業務内容である。

 

気まぐれで困ってる人を助けたり、村、街、世界を救ったりするのだが、総プレイ時間から対比してみると暇潰し程度の事柄であり、なんとなく世界を救った後も日夜犯罪行為に勤しんでいるのである。

 

そんなクズ丸出しの武装サイコパス野郎に私は一時期憧れを持ってしまっていた。

 

1998〜1999年

 

例によって私はゲームと言う名の底無し沼にドップリと浸かりきって最早抜け出すどころか沼と一体化する位にはまっていた。

 

そんな私が次に目をつけたゲームが

 

ゼルダの伝説 時のオカリナ

 

NINTENDO 64のゲームで当時ではとても注目されたゲームであり、ファミ通クロスレビューでは初の40点満点を叩き出すなど色々と伝説的なゲームなのである。

 

広大なフィールドを前転しながら駆け回る少年リンクが繰り広げる大冒険。谷出身の鼻デカおじさんことガノンドロフ大した理由もないのに世界を滅ぼそうとするので7年間コールドスリープしたのち檜山修之ボイスの金髪ピアスの不良になって刺殺しに行く、壮大なスペクタクルストーリーである。

 

また、例に漏れず主人公のリンクも民家に勝手に潜入、壺や木箱を破壊したり、宝箱から金を着服するなど、勇者としての基本業務はこなしていた。

 

 

そんなゲームとの出会いは霊山という何かしらの魑魅魍魎が潜んでいそうな霊峰に住んでいる父方の祖父の家であった。

 

春先のある日、従兄弟がゲーム機本体と一緒に持ってきたのが件のゲームである。

 

画面に映るゲームは、それはそれは面白そうで、やっている従兄弟も大変ご機嫌な様子でプレイしているものだから、単純な私はすぐに虜になった。その後数ヶ月に渡る両親へのネゴシエーションの結果、イトーヨーカドー福島店にて買い与えて貰った。

 

早速ウキウキでプレイをするのだが、最初のボスで出てくるデカい眼球の付いたカニの化け物や、夜の平原に無数に湧いて出る不気味な骨の怪物などにビビってしまい、ろくに進められなかった。

 

だが、私には困難な道を共に進んでくれる仲間がいた。

 

通学路が一緒で仲良くなったS君である。

 

当時の私は彼としょっちゅう遊んでいて、彼を度々我が家へと招いて交代でゼル伝をプレイしていたのだ。

複雑なダンジョン、迫りくる強敵、数々の困難を2人で突破して行き、主人公が7年の時を超え、新たな旅路へと向かう所まで行き着いたのだ。

 

物語も中盤へと差し掛かり、ワクワクが止まらない所で、帰宅の時間になり彼は家路へと向かった。

 

だが、そこで大きな問題が起きた。

 

彼を見送った後、ゲーム機を置いてある客間へと向かったのだが、

 

 

Nintendo 64 本体に

 

カセットが

 

刺さっていなかった。

 

 

 

アレ...?

 

 

 

私は母にソフトを片付けたのかと尋ねると、知らないと返ってくる。

 

勝手にソフトが消える...?
そんなはずはない。何故?何処に行った?

混乱焦りが私を飲み込む。

何処を探しても見つからない。

 

探して、探して、探して…

 

全盛期の山崎まさよし並みに探し回ったが、

見つかることはなかった。

 

 

さて。

 

 

聡明な皆様はお気づきだろう。

 

犯人を。

 

奴である。

 

S

 

彼は私のゲームを盗んでいきおったのだ。

 

更にとんでもないことに後日、あろうことかカセットの裏に書いてあった私の名前を上からペンで塗り潰して、何事もなかったかの様に我が家に持ってきてプレイするのである。

 

図太いどころか、サイコパスの所業

少し不審に思った私はに問いかける。

 

私「あれ?買ったの?そのゲーム?」

 

 

S「うん、買った」

 

 

 

あーあーあーあーあー。

 

なんで平気で嘘をつけるかねぇ、ええ?

 

私も私で無用心だったが、コイツはとんでもねぇクソガキであった。

良心の呵責罪悪感と言うものがないのかコノヤロウ。

 

目隠しで簀巻きにして瀬戸内寂聴の説法爆音のヘッドホンで3時間程聴かせた後、護摩でその嘘で塗り固めた上っ面を炙ってやろうか!!

 

 

 

とも思うが、当時の彼は私共々小学生2年生

間違いを犯すことはあるし、それを反省をする機会はいくらでもあるのだ。

 

 

間抜けな私はすぐ隣にいる男が犯人と疑うことなく、ゲームをなくしたと落ち込んでいたのだが、後に、の御母堂が、ウチで買ってないゲームをやってるとのリークを我が母に流しており、仕舞いには全てバレて、両保護者総出で大目玉を食らったそうだ。

 

 

ちなみに、Sくんと私に気を使ってかその顛末を私が知る事になったのは数年後になる。

その時には既にクラス替えで彼とは疎遠になっていた。事件から時間もたっていてそんなに気にしなかったのだが、私はなんとも悲しい気分になったのは思えている。

 

その後、流石の彼も猛省したのか大人しくなり中学時代には素朴な野球部員になっていた。

 

この件を総評すると、

 

窃盗はダメ、絶対。

やっていいのはゲームの中の勇者及びそれに準ずる者だけ。

 

以上。

更新遅れてすみませんでした。