入院編②
前回のあらすじ
骨折して入院することになった。
さて、人生初の入院生活の幕開けである。
私の病室は一番奥の窓際の部屋。病室の中では一等地である。
そこに案内され看護師の兄ちゃんと持ってきた荷物の整理や今後の流れなどをざっと浚って後は夕飯までベッドでゴロゴロとラインをしたり漫画を読んだりしていた。
友人や関係各所諸々連絡を入れて、心配をかけてしまい大変申し訳ないなぁと思ってはいたが、この時は割とケロっとしていた。
有名な言葉で
「馬鹿は風邪をひかない」という言葉がある
これは正確には「馬鹿は風邪をひいても鈍いので気が付かない」ということであって
例に漏れず私もこれに当てはまっており、相当鈍い生き物なので鎖骨はバッキリと折れ、両足は打撲まみれ、肋骨も一本やってる疑惑があり、顔面は鬱血パンダ。
それでもなお、元気は有り余っていたのである。バカは強いのだ。
そんなこんなで、夕食が届いた。初の病院食だ。
献立はご飯、鯖、汁物、その他野菜。
ざっくりとこんな感じである。
うん。質素である。
だが、ナメてはいけない。
一口鯖をほおばったが、まあ美味い。
なんといいますか、空腹も相まってとてもおいしく感じられた。
ああ鯖よ、鯖、鯖、鯖。
鯖という魚の評価を改めなければならんなぁと謎の感心して夕食を済ませた後
暇つぶしで読んだ某チェンソー漫画で
「魚の白身はほぼ同じ味で油の量や触感しか違いがない」
という情報を目にし、はたまた鯖の評価がまた少し変わったのは別の話である。
鯖、きみは一体?
で、消灯時間がやってきた。
夜型の私はもちろん寝れんのだがそれ以上にとんでもないことが病室で起こっているのである。
ネットで調べた「入院にするのにあったらいいもの」の欄の中に
耳栓 というものが載っていた。
これは同じ病室の人でいびきが酷い人がいると大変なのであると便利だと書いてあったのだが、
私はまあ、大丈夫でしょうと高を括っていた。
で、結果どうなったかって言うとね。
ズ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ゴボボボボボ ボゴパッポ
ギギギギギギギュイイイイイイ
化け物が現れたのである。
お隣さんの様子は確認できないが多分チェンソーマンが暴れているのではないかと思った。そのレベルである。
今までいびきというものは複数回聞いてきたが、過去一のいびきであった。
まあそれがあろうとなかろうと寝れない私は、暇つぶしのために漫画を読みふけってた。
で、ある漫画を読んだんですね。
「四月は君の嘘」
って漫画なんですけどね。アニメ化、実写映画化もされた。
知ってる人はこの時点でどうなったか察しがついたと思います。
大号泣
最終巻を読み終えたときには、顔面が汁まみれになっていた。
マジで泣ける。
隣ではチェンソーマンが爆音のいびきを奏で
私はあふれる涙をぬぐい鼻水をブーブーいいながらかんで
病室中に汚いデュエットが響き渡っていた。
ああ、明日は手術日だというのにこんなんでいいのだろうか。
いいんだろうか....と思いながら、気が付けば私は夢の中へと落ちてゆくのである。
つづく。